vol.6 チャック・ミラー先生とヨガベルトの場合。
ヴィパリタカラニ・ダンダアーサナ
Viparita Karani Dandasana
ポーズに集中しようとすればするほど、集中が遠ざかっていくという経験をしたことはありませんか。世界的なアシュタンガヨガブームを牽引してきたヨガティーチャーで、全米でヨガスタジオをチェーン展開する「YogaWorks」の創始者のひとり、チャック・ミラー先生は、集中できないときには、まず現状を受け入れることがヨーガの一歩だと言います。「ヨーガのポーズを意味する”座”(アーサナ)は、この瞬間に生きることです。しかし、ヨーガのポーズを繰り返す中で浮彫りなるのは、自由にならない心と体でしょう。過去の思考習慣や、体の癖に気づくことは、私たちを”いま・ここ”に繋ぎとめ、思いやりの心を育んでくれるものです。これがヨーガです。」そして”いま・ここ”への気づきをサポートしてくれるのが、信頼できる友人やヨーガの先生の存在、そしてヨガプロップスだと明言するチャック先生に、ホームプラクティスにも気軽に取り入れられて、疲労回復効果も高い、Viparita Karani Dandasana(脚を壁に上げるポーズ)を教わりましょう。
ヨガマットも壁も、ヨガプロップス(補助具)のひとつです。
「もっともシンプルなプロップに、手足が滑るのを防ぎ、硬い床からからだを守ってくれるヨガマットがあります。部屋の壁、正確には壁と床が交わる角は、実に優れたプロップです。私たち指導者は特に注意しなければなりませんが、ヨガマット、壁、床、ヨガブロック、ヨガベルトなどのプロップスの使い方を学ぶために、まず必要なのは”こうあるべきだ”という先入観から自由になることです。料理に役立つ鋭い刃物が、人を傷つけることもできるように、物は使いようです。」(チャック・ミラー先生)
- プロップスを用意します。( 壁 / 床 / ヨガマット / ヨガベルト / ヨガブランケット / アイピロー )
- ヨガマットを壁に垂直にセットします。
- 左右どちらかに身体を倒したまま、壁の近くまでお尻を近づけたら(写真※1)、背中を床につけて仰向けになり両脚を壁に持ち上げます。寝てしまうのではなく身体の状態を見守りながら休息し、疲労感が薄れて十分にリラックスができたら、次にポーズの調整に入ります。
- 腰椎のアライメントを調整しましょう。腰の重みが仙骨下部にうまく収まっている時、背骨は自然なカーブを描き、恥骨と恥骨前骨が一直線になり床と平行です。このまま2-3分間、休みましょう。
- 足のアライメントに着目しましょう。親指と小指が一直線になるように揃えます。踵の内側、踵の外側は、それぞれ均等に軽く天井を押します。無理がなければ両足を軽く揃えましょう。ヨガベルトを使うことで、脚と足の位置関係をより明確にします(写真※2)。個人差がありますが、ベルトの位置は太ももの中央よりも少し付け根側に降ろしてもいいでしょう。
- 背面を意識しましょう。肩甲骨は引き下げて背中上部と胸に広がりを持たせます。首はぺったりと床に着けるのではなく自然なカーブを保ちます。肋骨前方の下の方をやさしく丸めて恥骨の方に向けて降ろしていきます。
- 必要だと感じる調整を加えながら正しい姿勢を保ちます。マインドフルにこころとからだのメッセージを受け取りながら、穏やかな呼吸を繰り返します。ラベンダーが詰まったアイピローがあれば、目元が休まりよりリラックスできるでしょう。
禁忌:ハムストリングスが硬くて腰椎のカーブが不自然になる方は、このポーズを行わないでください。仙骨に体重を乗せるのに違和感がある場合は、床から少し離れたところにお尻を下ろします。または(同時に)ブランケットで高さを出してサポートします。
ポーズは短めから始めて、寝てしまわないように注意してください。(モデル:田中聡子さん、協力:YOGA TREE)
INFO
1971年よりヨーガを始め、1980年にパタビジョイス師に師事。1988年3月にカリフォルニア州・サンタモニカで、後に全米初のヨガスタジオチェーンとなるスタジオ「YogaWorks」をオープンしアシュタンガヨガの指導を始める。「YogaWorks」を16年間に渡りマティ・エズラッティと共同経営したのち2005年5月にスタジオ経営から退陣し、現在は旅をしながら指導にあたる。ダイナミックなプラクティス実践と奥深い哲学システムの両側面からホリスティックに説くユニークな指導スタイルは世界中にファンが多い。
YOGA TREE
東京都渋谷区広尾5-5-1 田中ビル4F >> map
TEL:―
東京のヨガコミュニティの発展と成長を願って設立されたヨガスタジオ。チャック・ミラー先生の東京でのワークショップ・マイソールクラスをホストしている。詳しくは >>>http://ja.yogatree.jp/