世界のお気に入りヨガスタジオ、今回はドイツ南西部。東にオーストリア、西にフランス、南にスイスの3国に挟まれた環境先進都市、フライブルグ・イム・ブライスガウから、イタリア・パドヴァでスタジオ「OJAS –yoga & ayurveda-」を主宰するヨガインストラクター、大西枝美さんがナビゲートしてくれました。
ドイツの南西部、森に囲まれた都市、フライブルグ・イム・ブライスガウ(以下、フライブルグ)をご存じですか。すっぽりと森に包まれたフライブルグには、毎晩森から流れ込む澄んだ空気で満ちています。豊かな自然と温暖な気候を求めて、国内外からの移住者が集まることから、「グリーン・シティ」という別名で親しまれています。
でも、それだけではありません。フライブルグを包む森、シュヴァルツヴァルト(黒の森の意)の総面積は約5180平方キロ、南北で約160キロと広大。今では見渡す限り豊かな緑が広がっていますが、1970年代に近郊の町で住民が起こした原発反対運動をきっかけに、廃棄物・リサイクル政策、自然エネルギー政策に基づいた都市計画が行なわれるなど、環境保護キャンペーンが盛んに行われるようになったのも「グリーン・シティ」と呼ばれる所以です。そんな「グリーン・シティ」の黒の森でSOMA YOGA(ソーマ・ヨガ)を見つけました。
スタジオ2007年にオープンしたヨガスタジオ「ソーマヨガ」は、以前はクリスタル研究室だったという建物を改築したスペース。陽の光りが差し込む天高のスタジオでは、オーナーのタリカさんのレッスンが行なわれているところでした。
ここで学べるのは、オーソドックスなハタヨガから、ヴェーダの智慧を取り入れた哲学よりのものまで、新旧が同居したプログラムはグリーンシティの街並みのように豊か。スタジオを運営するラルフさんとタリカさん夫婦にお話しを聞きました。
<写真>スタジオオーナーのラルフさん(Ralf Nataraj Schultz)とタリカさん(Tarika Yogini)
以前はジヴァムクティ・ヨガを指導していたというタリカさんがアーユルヴェーダを取り入れたヨガを教えるようになったのは、Dr.ディヴィッド・フローリーに師事して、アーユルヴェーダを学び始めたのがきっかけだそう。アサナにフォーカスしたレギュラーレッスンも、マントラで始まりマントラで終わるが、それに抵抗を感じる生徒さんはほとんどいないと言う。
「プラーナヤーマ、瞑想、あるいはマントラは秘伝的、狂信的なものではなく、自分自身と深く繋がるためのツールにすぎません。例えば、小川は「シュー」という音がしますよね?これは女神ラクシュミーの音「シュリーム」と同じ音です。マントラはとても強いエネルギーを持っているので、母なる自然の音をイメージして「シュリーム」を唱えると癒されます。同じように、母が子供を腕に抱いてなだめる時も「シィー」って言いますよね。これもマントラです。このように説明すると、受け入れやすいですし、日頃から自然界の音に耳を澄ませるきっかけになります。自然の声を聞くために、難解な概念を学ぶ必要はないのです」。
ソーマヨガがあるフライブルグの街は、スイスの北部の町バーゼル(BASEL)から電車で約1時間の距離。また、車を約1時間半走らせれば、アルプスが一望できるコンスタンツ湖(KONSTANZ)に足を伸ばすことができる。近郊にあるフランスの小さな町、コルマー(COLMAR)で催されるクリスマスマーケットは、冬場の観光スポットとして有名だ。
<写真>ドイツで最も美しい街並みに数えられる旧市街にある、高さ116メートルの塔が聳える大聖堂の前の広場「ミュンスター(大聖堂)広場」では、日曜を除く毎日地元の果物や野菜の市場で賑わっている。
Text : Emi Onishi(OJAS) , Photo : Courtesy to Emi Onishi and Soma Yoga.