ダウンタウン最北に位置するユニオンスクエアから歩いてすぐの角に、ニューヨークシティの半世紀を見守ってきた老舗書店「Strand Book Store(ストランド ブックストア)」がある。その二階はかつて、ヨガティーチャーのシンディー・リー率いる伝説的ヨガスタジオ「Om Yoga Center(オームヨガセンター)」があった。2012年にオームヨガセンターが閉鎖した後、シニアティーチャーたちは元のスタジオから通りを挟んだビルの2階に場を移し、質の高いヨガクラスを提供し続けている。ヨガスタジオ「Now Yoga(ナウ・ヨガ)」の創立者のひとり、フランク先生を訪ねました。
<写真>The Shalaと Now Yogaが同居するスタジオ
建物の入り口にあるNow Yogaの看板には、The Shala(ザ・シャラ)という別のスタジオが名を連ねている。オームヨガセンターが閉鎖した後、新天地を求めてスタジオスペースを探していたシニアヨガティーチャーたちに救いの手を差し伸べたのは、アシュタンガヨガスタジオのオーナー、バーバラ・ヴェロチとクリスティン・レイだった。古巣オームヨガセンターの斜め前のビルを借りてヨガスタジオ「The Shala」を主宰していたふたりだ。そうして2012年、2部屋のスタジオスペースを使い分けるシェアスタジオとして、Now Yogaはオープンした。
オームヨガセンターのシニアティーチャーとは、ジョー・ミラー、エドワード・ジョーンズ、ブライアン・リエム、そしてフランク・マウロだった。オームヨガセンターの中核メンバーとして数々のトレーニングを指導してきた実績と経験、そして人気のあるティーチャー達だった。スタジオの名付け親は、フランク先生だったという。
<写真>Now Yoga創立者のひとり、フランク・マウロ先生は、Om Yoga Centerで11年間講師を務めた人気と実力の持ち主。定期的に来日し、各地でトレーニングやワークショップをリードしている。
「2012年にオームヨガセンターが幕を閉じてから、新しいスタジオの名前についてアイデアを出しあっていましたが、どれもしっくりこなかった。そんなある日、私は、ヨガティーチャーであるリチャード・フリーマンがヨガスートラを解説するCDを聞いていました。その時ふと、スートラの冒頭部分 “Now begins Yoga(いま、ヨガが始まる)” という言葉が耳に留まったのです。”Now” とはどういう意味なのでしょうか? 今まで私達は沢山のことを試してきました。自分を傷つけ、怒り、そしてお金や性欲、娯楽に溺れてきました。それらに別れを告げ、いまこそ真のヨガのプラクティスが始まる。私はそのように理解しました」
60年代生まれのフランク先生が育ったニューヨークでは、物心ついた頃から、すでに街にはヨガが溢れていたという。ヨガを練習していた父親の影響もあり、ヨガのあるライフスタイルを自然に身につけたフランク先生だが、現在のヨガシーンは目にあまるものがあるという。「1ヶ月間、あるスタイルのヨガをしたと思ったら、また違うスタイルのヨガを始めたりする。クラスで注意されたら我慢ができず、すぐにスタジオを変えるような生徒もいます。これでは深く学ぶことはできません。井戸を掘るなら水の出るまで、という諺がありますね。浅い井戸を掘り続けても水を汲みだすことはできませんが、ひとつの井戸を根気良く掘り続ければ水を汲みだすことができます。ヨガの道もこうあるべきだと考えています」
初心者にも分かりやすいと人気のフランク先生のベーシッククラス
定期的に来日しワークショップやトレーニングを行なっているフランク先生をはじめ、経験豊富な指導陣が揃うNow Yoga。アライメントベースのプラクティスを日頃から行っている人はもちろん、プラクティスを探求したい人、ヨガを深めるきっかけを探している人も一度訪れてみたいヨガスタジオだ。ヨガの後には、ユニオンスクエアで開催されているファーマーズマーケットをチェックしたり、ストランドブックストアでヨガ書籍をリサーチするのもお勧めだ。
Text & Photo : 大西 枝美(OJAS – Yoga & Ayurveda) , Edit : Yoga works , Courtesy to Frank Mauro.